
赤バラを一種活けで描く

一つの花と向き合う、静かな時間 ―
英国の庭には、色とりどりのバラが咲いています
イギリスで暮らしていた頃から 私にとってバラは暮らしの中にある身近な花でした
その中でも私が特に心惹かれてきたのが、赤バラです。
華やかでありながら どこか凛としている。 そんな赤バラを私は一種活けで楽しんでいます。
一種類の花だけで、ひとつの空間をつくる 一種活けとは、
一種類の花を中心に、その花の美しさを活かしながら、ひとつの空間をつくっていく表現です
何種類もの花を組み合わせて華やかさをつくるのではなく、ひとつの花とじっくり向き合う
すると、同じ赤バラでも 一輪一輪に違う表情があることに気づきます
花の向き、 開き方、 高さ 茎のしなやかさ
ひとつひとつの個性を見ながら
その姿がいちばん美しく生きる場所を探していきます
そして花と花の間に生まれる空間を感じながら 全体のバランスを整えていきます。
赤バラだからこそ生まれる、静かな緊張感
赤バラで一種活けに取り組むと
そこには独特の空気が生まれます
赤という色の強さ、 バラそのものが持つ存在感
それらをひとつの空間にまとめていくと 華やかさの中に静かな緊張感が生まれます
何色にも頼らず、 赤バラというひとつの存在で空間をつくる
そのシンプルさの中にあるもの。
私はそれを「気品」だと感じています
花をたくさん使うこととは違う一種活けならではの贅沢があります
ひとつの花をよく見る
その花の個性を知るそして、その美しさがいちばん生きる場所を探す
それは、花を生けるというより、花と対話するような時間なのかもしれません
一種活けには ひとつの決まった形だけがあるわけではありません
花の表情や器 そして飾る空間に合わせて、さまざまな構図を描くことができます
今回は赤バラだけを使い テーブルに飾るアレンジと
縦の流れを生かしたSシェープの表現をご紹介します
同じ赤バラというひとつの花でも 形が変われば そこに生まれる空気も変わります
その違いを感じていただけたら嬉しいです
イングリッシュマムが伝えていきたい一種活け 今回ご紹介しているのは
ある日のレッスン風景ではありません
私が長く学び 花と向き合う中で育ててきた
イングリッシュマムの花の世界のひとつです
一種活けは タエコマーヴェリーフラワースクールの上級コースで学んだカリキュラムのひとつ
私自身もこの技法を学び 現在、イングリッシュマムの上級コースでお伝えしています
赤バラというひとつの存在と向き合い ひとつの空間をつくる
そこには 花そのものを見る目と 一輪一輪を大切にする心があります。
花の種類をたくさん使うこととは違う 一種活けだからこそ味わえる時間
赤バラと向き合いながら 静かにひとつの空間をつくっていく
そんな花時間を いつか味わっていただけたらと思います